デザインコンセプトとして
「Human Centered : 人中心」
「Deduction : 引き算」
「Mobility : モバイル性」
「Material : マテリアル」
機能的且つ実質的なデザインの時代を超えた美しさを際立たせ、使う人や訪れる人のことを考え抜くプロセスが、デザイン哲学として掲げられている。空間を彩る建築や家具は絵画や彫刻と異なり、“機能と環境”を考慮するものだと考えられており、周辺の環境と良い関係を築きその中に人が入ってはじめて完成するのだ。「人が使うための機能を果たしながら自身が美しいと感じるものを作る、というのが建築の面白さです」と、過去のインタビューでも西川は話す。
そんなデザイン哲学を掲げた〈RAUMNEST〉からブランドから求められる空間作りとして、“ブランド”は時代やシーズンごとに独自のコンセプトを表現するものだと考える。故にその時々で見せたい世界観も違ってくるのは当然のことだ。そのソリューションとして店舗の内装や家具はあくまでもシンプルにし、プロダクトが引き立つミニマルへの引き算を追求している。
また特徴として家具を動かす、組み合わせる、取り外す、そんなモビリティ性を想定した内装デザインが挙げられる。それらに使う素材としては、水、石、ガラス、金属などの自然素材を合理的に多用することで、その空間で働く人たちへの環境にも貢献していく姿勢を見せる。
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南フロリダ州を拠点にコラージュアートや音楽制作など、アーティストとして活動しているリチャード・ヴェルゲス。主にコラージュアートが彼のアート表現として確立されているが、同様に音楽のアーティストとしても作品を表現しており、バイナルで楽曲をリリースをするなど多様なアーティストとしての顔を持つ。作風から汲み取ることが出来るように、人間性や機械的要素のミックスがベースとしてある。そこから見えてくる彼のバックグラウンド、そして異なるメディアによって表現された作品に抱く思想や価値観を聞いていく。
アートへ興味を持ちじはじめたきっかけを教えて下さい。
最初に言えることとしては、アートに興味を持ちはじめてから理解するまでの入り口として、僕にとっては音楽と映画が当てはまる。子供の時にピーター・ゲイブリエルのミュージックビデオや映画『ビートルジュース』を見たときに、シュルレアリスム(超現実主義)の世界への扉が開き興味を持ちはじめたんだ。
それで当初は音楽のアルバムカバーのアートワークを作りたいと思って、大学ではグラフィックデザインを専攻することにしたんだけど、プロのグラフィックデザイナーとして働き出してから、よりパーソナルな作品を作る捌け口が欲しいと感じはじめていたんだ。それが僕自身をコラージュワークへ向けた大きな要因かな。
あなたのクリエイションのインスピレーションは何ですか?
僕は映画上のシュルレアリスム(超現実主義)もそうなんだけど、リアルな生活の経験からも影響を受けているよ。個人的な考え方として、一般の人々が何かしらのつながりを簡単に感じられるものが、アート表現であるべきだと思っているんだ。だから僕は常に普遍的な状況にインスピレーションを求めていて、そこから感じたことを非現実的(ドリームライク)なことへと変換し表現している。要するに僕たちのまわりにあるものすべてがクリエイティブなインスピレーションに成り得るし、それをどのように自分自身に当てはめていくか?ってことが重要だと感じているよ。
あなたの作品、特にコラージュアートからは“人間性”と“テクノロジー”の2つの要素を感じることができます。これらは何を含んでいるのでしょうか?
コラージュアートをやりはじめた当初、良くも悪くも何もそこには深い意味合いは無かった。ただ乱雑的な美学を求めて多くの要素をコラージュに加えていたんだ。そんな中一度脱構築して、ひとつひとつの要素をバラした。その結果2つの要素が僕の場合は必要不可欠なものだと気付いた。その中のひとつとして“人間”は最も重要。何故かって当たり前だけど“人間”ということは、僕たちにとってとても関係性が強い事柄だからね。そしてもうひとつの要素が建築や電気に当てはまる。この2つの競合(レース)が僕の作品の象徴的意味であって、同時に機械がいかにテクノロジーの発展とともに人間らしさを置き去りにしてきたかってことを表しているんだ。これは僕たちが毎日ディストピア一歩一歩に近づいていて、その事実の認識を示したものでもある。
コラージュアート内では明確に2つの要素が分けられているように感じます。そのような作風には何か理由があるのでしょうか?
明確に分け隔てている理由としては、2つの要素を均一に比較できるようにする為なんだ。時にはそれぞれの事柄の相違点が、作品のストーリー伝えることに直結することがある。例えばスパゲッティとミートボールを注文したとする。でも代わりにスパゲッティとボーリングボールを貰ったとしよう。まずそれは食べることができないよね。でもその前後の違いがその起こった出来事を、ストーリーとして話そうって興味を引き出してくれると思うんだ。
過去のインタビューでアヴァンギャルドから影響を受けていると答えていますね。それを踏まえてあなたの作品を見てみると、バウハウスの要素を全体的に感じます。例えばコラージュのやり方や作品そのものが纏っている雰囲気です。もしあなたが仮にバウハウスから何かしらの影響を受けていることとしたら、あなたの作品にとってバウハウスの役割は何ですか?
アヴァンギャルドのアートは間違い無く、僕のアートの美的価値観の裏に紐付いているメインインスピレーションさ。特にダダ、シュルレアリスム、そしてバウハウスだね。バウハウスに関して言えば、モホリ=ナジ・ラースローは僕にとってのアイドルのうちの1人だね。彼のピースをはめ込む空間の自由な使い方に、かなり影響を受けているね。僕は大体60年代やそれ以前のヴィンテージの本や雑誌から写真やイメージを切り抜いてコラージュに使っていて、バウハウスやダダの時代を感じれるように、ノスタルジックなスピリットを作品の中に残そうと試みているんだ。
別のアート表現として音楽的なプロジェクトもやっていますよね?アートワークとの意味合い的な違いは何ですか?
最初の音楽プロジェクト『Drowning the Virgin Silence』は、実は僕がコラージュアートをはじめた2005年とおおよそ同じタイミングなんだ。カセットテープから音のソースを探す同じテクニックで、ループを作る手法をとった。それでそれらのループをピースとして音源を構築した。まさにそれと同じアプローチでコラージュも手掛けているんだ。この共通した一連のパターンは、さっきも話したアヴァンギャルドから影響を受けていたりもする。ドイツの作曲家シュトックハウゼンやアメリカの作曲家スティーブ・ライヒたちの作品は、シュルレアリスム的音源を作っているアーティストのナース・ウィズ・ウーンドやソヴィエト・フランスと共通点があると思うっている。別のプロジェクトとして2010年に『Möthersky』という音源も出したんだ。
クラウトロックやポスト・パンクから影響を受けたのもあって、よりリズム感がある音楽を作り出すことをフォーカスした。それで最終的に今現在の最新のプロジェクトとして、『Night Foundation』が出来あがったんだ。クラウトロックの影響は残りつつも、ヴィンテージのシンセサイザーやテープループを使ってコズミックの音質に焦点を置いたね。そうすることでより抑制的且つ催眠的なサウンドスケープを生み出すことができるんだ。現時点では『Night Foundation』は僕のすべての影響の集合体で、そういった意味では音楽に関しては今のところはやり切ったと感じている。僕は厳密に言えばトレーニングは受けたことないし、ただ常に音楽を聴いて実験をしながら学んできただけさ。
EXCLUSIVE COLLABORATION
今回PMC PERMANENTの春夏立ち上がりに合わせた、デジタルメディアの機能を持たせたECサイトへのリニューアルを機に、Richard Vergezとのコラボレーションがローンチ。彼の特徴的なアートワークをプリントしたTシャツに加え、作品の展示販売も行う。
SIZE:S / M / L
COLOR:WHITE / BLACK
PRICE:¥7800+TAX
RICHARD VERGEZ
ビジュアルやサウンドを表現手段として用いる、キューバ系アメリカ人アーティスト。フィラデルフィアで生まれた後、ニューヨークにて活動の場を広げた。現在は南フロリダ州に拠点を置き制作を進めている。彼のグラフィックデザインやオーディオ&ビジュアルアートの背景には、コラージュアートワークが根底にあり、“人間”と“テクノロジー”を組み合わせた作風には、近代的ディストピアへのアイデンティティが反映されている。
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ドイツのケルンを拠点に活動をしてきた写真家トーマス・リーレ。建築写真の世界の中、独自の視点での撮影を表現してきた作家である。彼の作品の特徴として、幾何学的で平面的な画面構成があげられ、独特な平面的表現を支えるために光と影の陰影を効果的に操り、計算された構図を写真の中に世界観として実現させている。
もともとドイツ・エッセンの専門学校で写真の技法を学んだが、建築家の父親の影響もあり、後にデュッセルドルフクンストアカデミー(ゲイジュル大学)で、彫刻家エルヴィン・ヘーリヒのクラスへと進路を進めた。
リーレは当初から単なる記録としての写真ではなく、芸術作品としての存在価値を写真作品に求めていたと言われている。それ故にアートを学ぶ必要性を彼自身は感じており、彫刻家ヘーリヒの芸術哲学と彼の繊細な作業の技術に触れることが、リーレの写真的哲学にとっては大切だったのだ。
彼が切り取る写真からは緻密的な美しさを感じることができ、彼の写真に対する姿勢がそのクオリティを生み出している。対象物である建築物や建造物が1番美しく姿を現す“時”を待ち続け、その先に垣間見れる鮮鋭的美しさを写し出しているのだ。「ほとんどが冬だった」とリーレはコメントしており、そのわずかな“瞬間”と巡り合わせられるのは、理想的な光のコンディションが揃う季節の冬だったと彼は語る。
リーレが頭角を見せはじめるきっかけとして、在学中の76年に大学構内の階段を撮った作品『Lichträume』があげられる。そこから彼の写真家としてのキャリアを歩み出し、翌年にはデュッセルドルフの画廊アルフレッド・シュメーラにてはじめての個展を行った。
また80年のパリへの留学を筆頭に、ヨーロッパを中心とした数多くの建築写真を積み重ねていく。特にその中でリーレの写真表現と見事に適合したのが、近代建築の三大巨匠として建築史に名を馳せるMies van der Rohe建築であり、その写真を撮影した際に残された多くのメモ書きが、当時リーレが抱いた印象を物語っている。
インゼル・ホンブロイヒ美術館に建てられた11の建造物は、彫刻家エルヴィン・ヘーリヒの彫刻をスケールアップしたもので、“中に入れる彫刻”と言われており、それらの写真を建築当初の85年からリーレは撮りはじめた。彼が捉えた写真からは、ヘーリヒの核心的なコンセプトを的確に表現しており、それらの写真群は『Erwin Heerich auf der Insel』として出版された。
橋のシリーズはライン河沿いをリーレが旅した際に撮り続けた写真群であり、彼のライフワークとして30年以上かけて完成された作品。スイスの山奥の小さな坂の橋からはじまり、近代建築でもあるオランダロッテルダムのエラスムス橋に至るまでの長期的な旅の集大成として、写真集『Rheinbrücken』が出版されている。
Tomas Riehle (1949-2017)
]]>ドイツ・ケルンに拠点を置く写真家。建築やスカルプチャー等の被写体をメインとし、ドイツ中のミュージアムや建築会社、その他にも数多くのクライアントとの功績を残す。幾何学と均整美が顕著な特徴としてあげられ、建物としての機能美のみを強調するのではなく、被写体の審美的な要素を切り取り写真に昇華させている。彼自身、建築学的な構造から距離をとり、繊細な光の操作やアートとしての被写体の捉え方で表現している。